2011年04月の日記
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「クイーン・メリー2」(QM2)念願の大阪港へ (2011.04.01)

日本海事新聞「海遊人」

「クイーン・メリー2」(QM2)念願の大阪港へ

海洋画家 志磨 隆

 画家にとって「動くもの」は現場でのスケッチが容易ではないため、モチーフは最高のロケーションと興奮の中で写真に収め、その後、人に感動を与える絵として仕上げる。モチーフが絵を決めると言っても過言ではない。

 3月10日、大阪港に客船「クイーン・メリー2」(QM2)が初入港した。和歌山市在住の私にとって、念願の初入港である。

 私は2010年にQM2が横浜港に入港した時、豪州まで乗船している。背の高いQM2は高所からの入港シーンが格別だ。今回は2週間以上前にこの条件にピッタリのホテルシーガル天保山に予約。すでに満室状態だったが、交渉の末、港の入口が見える北西方向に窓のある12階の最高の部屋を確保した。

 初入港当日の朝。QM2の入港が1時間早まるとの情報があったので、午前6時15分、早めにカメラを大阪湾の水平線に向けてセットし、その瞬間を待った。約30分後、はるか沖合いの霞の中から背の高い船影が薄っすらと姿を見せた。7時になると、大阪市の消防艇の放水歓迎を受けて、目の前に迫ったQM2が汽笛を鳴らしながらゆっくりと天保山岸壁に近づいてきた。私がいるのは、高台に立つホテルの12階。普通の客船ならブリッジを見下ろす高さだが、QM2は約2階分見上げる高さだ。なるほど、横浜港でハーバーブリッジを通過できなかったのも納得できる。

 QM2は接岸までに3回の汽笛を3回吹奏した。この汽笛は有名で、現在、米国ロングビーチでホテルになっている初代QMから譲り受けたものだという。昨年の乗船時には、最上階デッキのファンネルの下で、その汽笛の威力に体が後ろに倒されるような衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えている。

 QM2が天保山岸壁に接岸すると、サイドビューの撮影のために対岸の倉庫のある岸壁に向かった。09年に大阪港に客船「クイーン・エリザベス2」(QE2)が入港した時は、カメラのレンズを広角にすれば全容を撮ることができた。しかし、今回はそれでもギリギリで、その大きさに改めて驚嘆した。 

もともとQE2を気に入っていた。QM2が03年にフランスのアトランテイチーク造船所でデビューした時は、その外見があまりに大きく、また背も高く好きになれなかった。しかし、実際にQM2に乗船してみるとそれが逆転した。理由は、その大きさから来る力強い信頼感と、ほかの巨船に見られなくなったオーシャンライナーの流れを継承した、前後に大きな空間のあるデザインにあるように思う。

 今年の秋、神戸海洋博物館で個展を開催する予定だ。今回、大阪港で見た「放水歓迎を受けるQM2」「接岸直前のQM2」「対岸から」などの絵も出展し、これまで描いてきたQM2コレクションに加えたいと思う。また、機会があれば、QM2が定期的に運航している米国ニューヨークから英国サザンプトンまでの北大西洋航路にも乗船してみたい。




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